己の胸に顔を埋めていた沙菜に、迅は一つ小さく溜め息を吐くと彼女の身体を抱き上げる。
いきなりの彼の行動に沙菜は小さく悲鳴をあげると、彼の首筋に腕をまわし落とされないようにしがみつく。






「もう、いきなりこんな事しないでくださいよ。びっくりするじゃないですかっ!」




「はは、わりぃわりぃ。…………沙菜、好きだぜ」




「………ずるい、私が言おうと思ってたのに」






 流れそうになる涙をこらえつつ、沙菜は幸せそうな笑みを浮かべ彼を見る。
彼女のその笑顔を見て、迅も幸せそうな……そしてやっと自分の想いを伝えることが出来たというような満足したような笑みを浮かべると、額と額をあわせ見つめ合うような状態で言の葉を紡ぎだす。






「思ってたって……じゃあ、沙菜の口からも聞かせてくれよ。お前の気持ち」




「うん。………私も、先輩のこと好きです」




「……ありがとな、沙菜」




「そんな、……私も先輩の気持ち聞けて嬉しいです。私こそ、ありがとうです」






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