「そういうの全部、嫌だから……」
――――……先輩のこと、『好き』ですって。
そう、言の葉を紡ぎながらその顔に笑顔を浮かべ、沙菜の耳元へ唇を寄せる。
「好きだぜ、沙菜。だから、………俺と付き合ってくれないか?」
「……えっ!?」
迅のその言葉に、沙菜は驚いたようにただ一言声に出すとその瞳をめいいっぱい見開き、迅の言葉に聞き入る。
「哉匡と牡丹が叶えられなかった恋……。いや、一緒に居られなかった分だけ俺たちはめいいっぱい幸せになろうぜ」
「っ、迅……先、輩」
「……それで、あの二人に負けないくらい沙菜に出会えたこと、運命にしてみせる」
彼はそう囁くと、沙菜の顔を覗き込む。
彼女は、思いもよらない迅からの告白に最初は驚いていたが次第にそれは嬉し涙になり、沙菜の頬を濡らしていた。
「なんで泣くんだよ、お前は」
「だ、だって……」
頬を濡らす沙菜を見て、迅は苦笑とも取れる淡い笑みを浮かべると彼女の頬に手を添える。
そんな彼の手に沙菜も自分の手を重ねると、迅の胸に顔を埋める。
「うぅ~~……」
「だぁっ! もういい加減、泣き止めよお前はっ!」
「きゃっ!?」
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