「……なぜ、ここまで追ってくる。俺の命が狙いか?それとも……」
『フッ……、』
「っ、何が可笑しいのですっ!」
『いいえ……、何も』
鼻で笑う間者に、さしもの牡丹も黙っておれず口を開く。
しかし、間者にそう言われ……後ろに気配を感じて振り返ろうとした瞬間、首元に刃をたてられてしまう。
それは、自分だけでなく哉匡も同然で……
『和平条約に不満を持つ者たちから、姫を護衛するよう言いつけられて来たのだが、どうも小柳の姫君も少々不満があるようなのでな。……ならば、姫にも消えていただこうかと』
「……姫を消せば、お前達も消されるのではないのか?」
『いいえ、お館様にはこうも言われてきましたので……。“もし、姫自身この婚姻に何か思うところがあるのならば、消してしまってもいい”と。……あぁ、もちろん和平条約はそのままにですが』
間者の言葉に、哉匡は思ったことを口にするがあっさりとそう返されてしまう。
そして、その言葉が終わるや否や………
――――……ザシュッ
………血飛沫をあげ、哉匡と牡丹は倒れいく。
二人は薄れいく意識の中、互いの掌を重ね…強く握り合いその表情には笑顔さえも浮かべていた……。
―――……この手紙を読んでいるあなたへ。
ねぇ、もしあなたの生きる時代が平和で……争いの無い時代ならば、
なんの迷いも無く、ただ真っ直ぐにその『好き』という気持ちが、あなたの愛している人に届くことを祈るわ……。
そして、その想いがあなたの愛する人に届いたならば、私が心から喜ぶわ。
………そして、きっとこう言うわ、
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