めちるの記憶の世界に来てしまった、いやでも此処はまるで……

「あはははは!」

私の記憶の世界?

頭が割れる様に痛い……

「!!」

世界が一瞬にして変わった。

「あ……」

私が幼い私になっている。

記憶の世界の混乱か?

「キャルナス……」

めちるが私にしがみついた。

「私はあなたを心から慕い、愛しています。

一人ではありません。」

……めちるに私は憎まれていると思っていたんだ。

成り行きでめちるをこっちの世界に召喚してしまった。

めちるは最初此処に来た頃はずっと泣いていたし。

なのに……愛してるか……

保護者の面子が丸潰れじゃないか……

「お姉ちゃんは誰……?」

取り合えずここはしらばっくれて見る。

めちるは襲いかかってくる兵士たちに啖呵を切る。

兵士は恐れをなして退ける。

私の手を握り締めるめちるの手は、とても温かくて大きかった。

まるで、彼の人みたいじゃないか。

親代わりなのに何もしてあげてなかったな。

手を握ってあげたのはめちるがまだ四歳で、此の世界に来てから一年目の頃だった。

まだ何に対しても心を開こうとしないめちるに、
一時も欠かさずに話かけてた。

色々な所に連れて行った。

初めてめちるが笑った時は、嬉しくてしょうがなくて。

五年前、死神になってからかな……

海峡の軍勢を殺めた時の記憶が甦ってくる。

毎晩、毎晩魘されて、涙が止まらなかった。

めちるは気づいていたんですね。

私の闇が広がった事。

そしてラミレ・パディドで私の闇を消そうとして……

失敗して此処に来てしまったのか。

ラミレ・パディドは禁断魔法だ。

成功したら処罰が下る。

そんなの駄目だよめちる。

「ありがとう……でもそれは無理だよ、めちる。

過去は変えられないんだ。」



何時の間にか、記憶の世界は消えていた。

駄菓子店の屋根の上に私は座っていて、
横でめちるが眠っていた。