千歳は苦笑する。



「そんなに畏まることじゃないよ。
この里の妖魔は、人間を嫌っていないから」




あたしの心を読んだかのように、千歳は笑う。




「天狗は躊躇いなく妖魔を屠る。
…人間は、常に迷いがある。今、あんたが考えたようにね」




顔に出てたのか。



いや、そんなことは表情から読み取りようがないはずで。




「昔から人間はそんな生き物だから」