「……どうして」


多分あたしは佐助が好きなんだよ。


今更気付いたって遅い。



あたしは佐助にとって、『契約者』であって、『山科燈』じゃない。




辛いよ。




クサイくらい乙女で、馬鹿にしていた感情。なのに。



「………」



先を行く佐助が、前を向いた瞬間だったか、よく…分からない。



あたしは気付くと、佐助じゃない誰かに腕を引かれて、国道沿いの山へと…飛び込んでいた。


そんな非常事態にも関わらず。


空を飛んだあの日。


初めてお姫様抱っこされたとき。


刀を構える姿とか。



思い出すだけで、嬉しくなる。


恋に落ちていたのか、よくわからなかったけど。




佐助のことを考えると、あたしは。




恋をした、と自覚した瞬間は、もっと甘くて優しい物だと思っていた。





きっと叶うことはない。