それが、ああも簡単に妖魔なぞに敗北するなど。




「…信じたく、ねぇよな…」



呟く。
先程までそこにいた『契約者』は、こんな自分に呆れたのだろうか?
カーテンの向こうに気配はない。


は、と自嘲する。



見捨てられ、

力の無さを思い知る。



『あたしは佐助に危ない目に遭ってほしくないだけ!あたしを庇って佐助が刀を握るっていうのは嫌なんだよ!』


人間に心配をかける天狗??
戦いを本分としている生き物だぞ、自分たちは。
…それに、あの時だって。
見捨てようと思えば見捨てられた。
体が勝手に燈を庇っていたのだ。



「…俺も、落ちぶれたよな…」
腹が鳴った。
そういえばもうそんな時間だったか。

食べる気には、なれなかった。