「あいつは殻ばっかり作ってるからな」



「殻だらけでもう本体が見えないくらいですよ…」



「ま、そう言うな。佐助も色々思うところが有るんだろう」



カカカ、と笑って、藤次郎さんは言った。



なんだか、天狗らしい天狗だな…




天狗笑い、という言葉を聞いたことがある。


道を歩いていると突然大きく豪快な笑い声がして、笑い返すとさらに狂ったように笑われる、という現象らしい。


まさに、藤次郎さんはそんな感じだ。




藤次郎さんはその日何もしないで、ただお茶だけ飲んで帰って行った。



本当におばあちゃんに挨拶してあたしを見るだけだったみたいだ。