「ま、普通の祭だし!騒ごう!…あ、タコ焼きじゃんっ!ちょ、あたし買ってくるからー!」


やけにテンションが高い由香理に、はーい、と生返事を返す。


それにしても、田舎とは思えないほどに人が多い。


ぽつぽつとしか存在しない民家。何処に住んでるんだか。


なんだか可笑しくて、くすりと笑う。


『天狗様』


……何、誰か何か言った?

声が聞こえて思わず後ろを振り向いた。…誰も居ない。


『天狗様』


何、誰を呼んでるの?


その声があまりに悲しくて。


次の瞬間だった。



…山から轟音が響く!



さすがにこの音は聞こえたのか、町の人達が次々逃げていく。


あたしは、逃げられなかった。
声が、目の前から、したから。