「帰るぞ、燈」


溜息混じりの佐助に、はいはい、と返事をする。


昨日みたいな目に遭うのはごめんだから。


我慢我慢。


「…おいこら、心の声が口に出てるぞ」



「……気にしない気にしない。帰ろ、佐助」



夕焼けの中、今となっては珍しい木造校舎を出る。



「緋祥さんって、綺麗だよね!羨ましい」


け、と佐助が言う。


「お前も緋祥も、その性格やめた方がいいぞ。緋祥はもう既婚者だから良いがな、お前は冗談抜きに嫁の貰い手いなくなるぞ」




……かっちーん。



また佐助を置いて逃げてやろうかと思ったけど、あの妖魔には絶対に会いたくない。