「燈は夏祭り行かないの?」


「夏祭り?」


そんな夏休みも終わりそうな頃。


これも町に一つの図書館で勉強していると、高校での親友、新城由香理がそう声を掛けてきた。


この図書館は地域の触れ合い場みたいな使われ方をしているから、話していても周りには小さな子供しかいないから怒られることはない。


「そ、夏祭り!行かない?」


「この町に何か祭れそうなものあったっけ」

変な日本語を口にしながら首を捻る。


神様を祀る祭というのが一般的じゃないの?この町に神様なんていたっけ?


「この町の神様?天狗様のこと?」

「天狗?!」

「そそっ!なんでもねぇ、この町を天災から護ったとかなんとか。神社もちゃんとあるんだから」

「ほぇー…」

「で、夏祭り行く?」



由香理のマシンガントークに負けて、あたしは夏祭り行きを決意した。