妖魔の大きすぎる手が、あたしを掠める。



逃げようにも退路を絶たれて。



あたしは転げ回るように妖魔の爪を避けつづける。



意外に俊敏なあたしの動きに、妖魔がイライラして来ているのが分かった。



妖魔は手当たり次第攻撃を放ち―
…ついにあたしは死んだかもしれない。



だってさ、あのデカすぎる爪で。


あれでお腹刺されたらさ、生きてる人間いないってば。





意識を失いかけたあたしの目に飛び込んできたのは―…




燻したように黒っぽい、銀色の残像。