「祖父が世話になった、山科ハル」


「いや。何にも、だよ。…やっぱり、燈かい」


「あぁ。時期が良かったな」


ななな、何の話よ。

ていうか知り合いですか。


「とにかく中に入るかい?燈に説明してやって頂戴。さっきから固まって動いていないわ」


「あぁ。じゃあ少し、上がらせてもらう」



そう言って、遠慮なく彼はおばあちゃんの家に上がり込んでいく。



あたしも、彼に続く。




彼は適当な和室を見繕って襖を開け、「入れよ」とあたしを招く。