…燃え盛る炎。



『千歳…!』


逃げろ、と唇が動いているのだけは分かった。


火に包まれた屋敷に、強い風が吹き付け、より一層激しく燃え盛る。


それは、天狗の風だった。


扇を持って、まるで戦果を確かめるように上空を飛行して。


感情の嵐に翻弄され、
一族でも不吉だとされるほどに強い力と戦闘術を持っていた千歳は、地面を蹴り―…