妊娠が判ったのは、ちょうど夫の転勤でこの街に来てすぐのことだった。

結婚二年目にして初めて授かった赤ちゃん。

独身の頃から続けていた仕事を辞めたばかりの私は何か運命的なものを感じていた。

子どもを生んで大事に育てなさいという神様の思し召しなのかな?なんて。

やりがいのある仕事をやめることは私にとってとても辛いことだった。

けれども妊娠した今となっては仕事は辞めていて正解だったかもしれない、と。

とにかく悪阻がつらくて、つらくて。

これでは会社なんてとてもじゃないけど行くことなんて出来なかっただろう。

共稼ぎの間も、家事は全部私がやっていた。

研究開発職に就いている夫は残業も多く休日出勤も多々あった。

私も働いているとはいえ圧倒的に私のほうが家にいる時間はあったから。

それに、明らかに夫のほうが稼いでいる額が多いし……なんて妙な負い目もあった。

そんなこんなで、今まではあまり疑問も持たず私が家事のすべてをやっていた。