その若い男性職員のとびきりの笑顔と明るい声に、心がほっこりあったかくなった。

何に有難う?なんて無粋なことは言うまい。

未来の働き手を産んでくれて有難うとか、そんなつもりじゃないのはわかった。

“元気な赤ちゃん、産んでくださいね”

“体、大事にしてくださいね”

きっと自然に発せられた、そのときの彼なりのエールだったに違いない。

あの日以来――

私は電車に乗ることはあっても、駅事務室には行っていない。

彼は変わらずあの駅のあの事務室に勤務しているのだろうか?

あの明るい笑顔でキーホルダーと一緒に優しいエールを贈っているのだろうか?

だったらいいなって、そうであって欲しいなって、心から思う。