何しろ人生初の経験だもの、わからないことだらけで未知なるそれへの不安が募る。

しかも、なんだかんだ言って私は生真面目な性格だから。

できるだけ完璧に!できることはやり尽くして万全に!と気負ったり。

「うーむ……」

「何?また難しい顔しちゃってさ」

考え込む私に夫が暢気に声をかける。

「ママがそんな顔してたら、赤ちゃんが眉間に皺寄せて産ませてくるぞ~」

「もう!私が考え事してると、いつだってそうやってさ。パパは気楽でいいよね」

ったく、ホントのほほんとしちゃってさ。

実際お産のとき男なんてなーんの役にも立たないっていうもんね。

だけど――

「本番もその調子で笑って励ましてよね」

「おう!まかしとけ!」

のびのびとした夫の明るさに私はいつだって、すごくすごく救われているんだ。