「ギャルって?」

「ほら、派手な女だよ。スカート短くて髪をクルクル巻いて…綺麗な色気のある女」


そう言うとタクヤはクスクス笑いだし、唐揚げを頬張っていく。


「まぁ男だし、色気のある女に近づきたいのは当たり前だろ。でも好みってのがあんだろ、人それぞれ。俺は、あぁ言うのん好きじゃねぇし」

「何で?綺麗じゃん」

「は?綺麗か?俺はうっせぇ女としか思えねぇけど…。俺はどっちかって言うとリオちゃんみたいな顔が好きだけど」

「いいよ。煽(おだ)てなくても…」


呟くあたしにタクヤはフッと笑って立ち上がり、自販機へ向かう。


ガタンと落ちる音がして、タクヤの足音が近づくと同時に、あたしの目の前にオレンジジュースが置かれた。


「飲んでいいよ」

「ありがと…」

「あぁ。でもまぁ、煽ててねぇけど気を付けたほうがいいよ?リオちゃんのファン多いから」


そう言ってタクヤはニコッと微笑み水を口に含む。


「ファン…?」


戸惑いながら聞くあたしに、

「うん、ファン」


タクヤはそれ以上、何も言わずにうっすら微笑んだ。