朝の陽ざしを浴びながら、この透き通った空を見上げるのがあたしはやっぱ好き。
この屋上から青々とした空一面を見ていると、なんだか落ち着けるから。
「リオ…」
不意に聞こえた声の方に視線を向けると、制服のズボンを脹脛(ふくらはぎ)まで折ったカケルが立っていた。
カケルはそのままあたしの横に腰を下ろし、ズボンからタバコを取り出す。
「リオさ、昨日なんで電話にでなかった?」
そう言ってカケルはタバコに火を点ける。
「気づかなかった。って言うか、カケルはなんで掛けてきたの?」
「だってリオが途中で帰るのって珍しいじゃん。だから何かあったのかなって…」
「ふーん…。心配してんだ?」
「心配っつーか、気になっただけ。リオさ、落ち込む事があんだったら男でも作れよ。だったらさ、楽しくなんじゃねーの?」
そう言うカケルが嫌になる。
落ち込むって何?あたしが落ち込むって言えばカケルの事しかないのに。
あたしが涙を流す時はカケルの事でしかないのに。
あたしが好きなのはカケルだよ?
なんで分かんないのかな?
でも、
「だね…」
あたしの口からは小さく言葉が漏れていた。