「あ、七瀬さん居たぁー」


屋上を出て教室へ戻ろうとした時、さっき話し掛けてきた1人の女がニコニコしながらあたしに近づいて来た。


「何か?」


ムスッとして答えるあたしに、

「さっきカケルと会ってたんでしょ?ねぇ、伝言伝えてくれた?」


そう髪をクルクル指に絡ませながら言ってくる。


「あー、まぁ…」

「で、カケルは何て?」

「さぁ…」

「さぁって何それ。まぁ、いっか…七瀬さんに頼むより自分で言ったほうがいいしな」


だったら最初から頼むなよ!!

思わずさっきよりも眉にシワが寄る。


「カケル屋上でしょ?あたし行こーっと…」


そう言って足を進める女は「あっ、」と言って後ろを振り返って微笑む。


「七瀬さん、途中で現れないでね?ヤってたら困るし」


ニコっと笑って、止めてた足を女は進ませる。

その背後をあたしは睨み付け、教室の中に入って自分の鞄を抱え込み、勢い良く飛び出した。


なんだよ…

カケルの馬鹿。断る理由がないって何?


意味わかんない!!


高校に入って次々と女がカケルに寄って行って、カケルはあらゆる女をとっかえひっかえして…

それを見てると無性にムカついて、気付けばあたしはカケルが好きだった。


鈴高、来いよ。なんて言われて来たけど、あたしは今ではカケルへの伝言板みたいになってる。


もう、本当に嫌なんだけど…