「人工呼吸。こーゆーのもありかと…」

「ふーん…いろいろ慣れてるね」

「さぁ、どうだろね」


クスクス笑いながら言う横山君を見て、あたしは手に持っているタバコの火を消し立ち上がった。

体育館から離れて教室に向かう途中、あたしはそっと唇に触れた。


初めてだったのに…


男にキスなんてされたの初めてだったのに。付き合ってた彼とでさえ何もなかったのに。

それを横山くんは糸も簡単にあたしの唇を奪った。


でも嫌じゃなかった。横山くんにされたのは嫌じゃなかった。

それはじゃあ、横山くんが好きだから?って考えるとそうじゃない。


横山くんに恋愛感情なんて何もないし、好きでもなければ嫌いでもない。


“リオもさ、鈴高に来いよ”そう言われて着いて行った高校…

でもカケルは高校に入って変わった。


髪も派手になってくし、女が見惚れてしまうくらいの風貌に、あらゆる女がくっつき中学の時以上にカケルは噂通りの遊び人になってた…


そんなカケルがあたしは大嫌いだった。


大嫌い…だったのに…