「へぇー、リオちゃんって男いたんだ」
いつも通り体育館の裏に行くと横山くんは大空を見上げながらタバコの煙を吐き出し馬鹿っぽく笑った。
「盗み聞き」
「盗んでねぇよ。そんな所で話してんのが悪いんだろ。いいの?振られちゃったよ?」
「別にいい」
表情を崩し腰を下ろすと、横山くんはクスクスと笑う。
その表情にムカッときたあたしは、横山くんが地面に置いているタバコを勝手に奪い、それに火をつけて勢い良く吸い込んだ。
だけど、
「ゲホッ…、ゲホッ…」
勢い良く吸い込んだ所為で、気分が悪くなり激しくむせ返る。
白い苦い煙が辺りを曇らせ、あたしはそれを手で追い払う。
「あんま無理しないほうがいいんじゃね?」
横山くんがそう言った瞬間、あたしの唇に何かが触れた。
柔らかい感触…
それは横山くんの唇があたしの唇と重なり合っている訳で…
「何してんの?」
ビックリする様子もしないあたしは唇が離れた瞬間、横山くんに平然と言った。