俺は部屋を出る

螺旋階段を下りていると、ジェイミーが追いかけてくる

俺の肩を荒々しく掴むと、石の壁に背中を打ちつけられた

俺の背中に痛みが走る

くそっ、この馬鹿力めっ

俺は視線をあげて、大男の顔を睨んだ

「なんだよ」

「お前を殺す」

「殺せよ」

俺は口の端を吊り上げる

大男の背後にイサンがぴったりとくっつくと、懐に隠していた短剣を首にそっと添わせた

「俺を殺しても、イザベラはあんたのところには戻ってこない」

「殺す」

「殺して、解決できる問題じゃないだろ
あんたが何をしても、イザベラは戻らない」

ジェイミーの身体が怒りで震えているのがわかる

目からも憎しみがびんびんと伝わってくる

俺が奪った

こいつの最愛の女性を

こいつの夢見ていた生活を…俺の地位と権力で、奪った

憎まれても、仕方がないと思わえるし、納得している