「ではなぜ、王座につけないと?」

「ベイリャルの後ろには、イングランド軍が控えているからだ
それだけ言えばわかるだろ?
あいつが死ねば、エドワード1世の怒りを買う
怒ればどうなる?」

「本気で怒るとは思えませんね」

「ああ、本気じゃねえよ
スコットランドを手にするための演技さ
あいつはここが欲しいんだ
欲しいもののためなら、どんな何癖でもつけて戦争に持ち込むだろうな
戦争になったら…こちらに勝利はない
敗北だけだ」

ジョン・カミンが意味ありげな笑みを浮かべた

信じてねえな、その顔は…

なんて視野の狭い男なんだ

そんなちょっと先の未来さえも、予測できねえのかよっ

これだから、馬鹿は嫌いなんだよ

「王になりたいなら、もう少し我慢をしろ」

「貴方にそんな助言をいただけるとは…思いませんでしたよ」

「別に助言じゃねえし
今、ここでスコットランド王国を失うわけにはいかねえんだよ
俺だって王になりたいんだ
だから…あんた達の馬鹿な行動でイングランドになんかに渡されたくねえんだよ」