国を愛し、国を思っている

ただ私利私欲だけで、王になろうとしているんじゃないんだ

未来を想像して、涙を流せる人なんて…このスコットランドにいるかしら?

スコットランドの貴族に、ここまで国を愛し、情熱を傾けている人はいるかしら?

「これから俺は、その暗殺集団たちに命を狙われるだろう
国王すらも、俺の首を欲しがられる」

「どうして?」

「簡単なことだ
俺がハイランドの豪族と同盟を結んだからだ」

ロバート様が涙を隠すと、笑顔で微笑んだ

「私と結婚したから?」

「ああ…ハイランドとローランドは長年、敵対関係にあっただろ?
それを俺とイザベラの結婚で、手を組んだ証しとなった
ブルース家とハイランド貴族が和解した…てことになるな
もし俺が女で、ハイランドに嫁いだのなら…ブルース家がハイランドの言いなり…て思われる
が、俺は男で、イザベラが嫁いできてくれた
それはすなわち、ブルース家がハイランドを掌握した…と国王や暗殺集団は考える
スコットランド国内だけで考えるなら、それは大きな力となる
権威を失いかけている王、それに王になりたいと思っている暗殺集団から見れば
俺は敵だ
イングランド王より先に片をつけてしまいたいくらいの…面倒臭い敵になる」

そんな…

だってこんなに国を愛してる人なのに?

「ロバート様が敵なんて…」

私はロバート様の手を握ると、首を横に振った