『きっと夜のテクニシャンなのよっ』

若い夫人の声が耳に入ると、俺はパンを喉に詰まらせた

激しい咳が出ると、席を立って客人たちに背を向けた

なんだ?

夜のテクニシャンって…意味がわからねえ

「大丈夫ですかっ」

執事が、部屋の隅から駆けつけると俺の背中をさすった

「大丈夫だ」

俺は執事に答えると、自分の席に戻る

「失礼」

俺は客人たちに片手をあげると、ワインを一気飲みした

『きっと女の気持ち良い箇所を知ってるのよねえ』

知らねえよ

『ああ、いいなあ
私が妻になりたかったぁ』

『じゃ、ハイランドの娘になれば?』

『それは嫌よ
あんな環境下の悪いところで生活なんて…信じられないわ』

嫌がるなら、勝手に嫌がってろ

環境下が悪くったって…生きていかなくちゃいけない人間がいることを忘れてるような人間に…

ああだ、こうだと

批判なんてされたくねえんだよ