「お早いお帰りですねえ
別にお部屋にいたままで良かったのに
使用人をイザベラ様のお部屋によこせばいいんだから」

俺の部屋で休んでいたイサンがにやにやと緩んだ顔つきで見つめてきた

気持ち悪いくらい目尻が下がっている

「イザベラがやっと寝た
緊張が解れたのだろう
ゆっくり寝かせてやりたい」

「へえ…ふうん」

俺はイサンが座っているソファを通り過ぎると、ベッドに倒れた

眠い

顎が外れるのではないか、と思うほど大きなあくびがでた

ずっと気を張って、大人のふりをしていたのだろうな

話し込むにつれ、口調が幼くなっていった

14歳で、誰かの妻になる

夜伽を経験する

きっとそれは、幼い少女には重い足かせのような感じだったのだろうな

強い女を演じて、強く見せる

見知らぬ人たちに囲まれて、ハイランドの女として気高く生き抜いていくために

きっと重い重圧の中で、ここまでやってきたのだろう