「とんだじゃじゃ馬娘だな
なんも考えてねえ」

俺は自分の寝室に戻ると、ベッドにどかっと尻を落とした

天蓋を見つめる

金糸が垂れさがって、揺れている様を眺めた

ふん、何が王座を奪えば…だよ

それができれば、俺はこんなところで燻ってなんかいねえんだよ

戦なんてな…簡単に起こせるんだよ

俺が一言、「喧嘩を吹っ掛ける」って言えば…この城は一気に戦闘モードに切り替わる

世の中の動きもわからないのに、適当なこと言うんじゃねえよ

「面白い子だったねえ」

イサンが俺の部屋に入ってくると、笑顔で口を開いてくる

「面白い…ねえ
俺、この5か月間…荒れていた記憶がないんだが?
部屋で暴れたこともないし、笑った記憶もある
確かに、あんなに大声で笑ったのは…たぶん今夜が初めてだ」

「心から笑ったことはないんじゃないの?
人を小馬鹿にしたような笑いなら、一日に何十回って見てるけど」

俺は口の片端を引き上げると、鼻を鳴らした

「そうっ! それそれ…その、人を思いきり馬鹿にした笑い」

イサンが俺の顔を指でさした

「人を指でさすな」

俺は立ち上がると、大股でソファに移動した