「桜宮があんなに強くなったなんて、予想外だよ。同じ2年の永瀬ってヤツがさ、急に上手くなったんだよなぁ…。」



敦史は喋りながら俺の前にやって来て、自然と窓のほうへ顔を向けた。
そのとたん、


「あ、永瀬だ。」

「どれ?」

「ん、アイツ。」



敦史が指差したので、指先を追ってみる。




あ…。


敦史が言ってた『永瀬』。
それは、あの女の子と楽しそうに笑っていた男だった。