一番多いのは、やはり牛乳だった。

しかし、この北国の白いプリンには、実際に北国で生産された牛乳を使用している。

市販の安い牛乳では、例のプリンの深みのある味わいが出せないのではないだろうか、とカノヤは思った。


「市販の牛乳で、プリンの深い味わいを出すことは出来ますか?」

「出さなきゃなんねーだろ。オイ、浦賀。例の副隊長は舌肥えてんのか?」


常磐は手際良く材料を混ぜながら、尋ねた。

浩也は何げに自分の名前が呼び捨てにされていることにムッとしたが、平静を装って答える。


「舌はおそらく肥えてる方ッスよ。食と美的感覚には煩い方ッスからね。それ以外は無頓着ですが」

「成る程ね。白いプリンは食べたこと有んのか?」

「いえ、初めて召し上がるはずです。だから余計に楽しみにしてたんじゃないスか?」


浩也は首を傾げながら答える。

それなりに丁寧な敬語が使えるようだ。