そういえば、コイツ人質じゃなかったか? と首を傾げてみれば、カノヤはすっかり戦意を喪失した穹人の人々を指差した。
成る程、ああなれば隙を見て逃げ出すことも可能だな。
「あの二人がこのまま喧嘩をしていたら、あの穹人達は勿論、他の方にも多大な迷惑が掛かります。何とかして、あれを止める方法はないんですか?」
「カノヤ君………」
浩也にとって、カノヤは天使のように見えた。
そうだ、こうしては居られない。
何とかして、二人を止めなければ……。
「そのプリンは何処に売ってますか? すぐに取り寄せて、機嫌が直れば良いんですけど…」
カノヤは尋ねるが、浩也は首を横に振った。
「あのプリンは通販なんだ。一般市場には出回ってない。だから余計に車山副隊長が怒るんだ」
「そんな…それじゃあ、今すぐあの二人を止める方法は無いんですね……」
「手作りな上、遠い北国から取り寄せるからな。二、三日は掛かるだろう」
「……街が消えますね」
二人は溜息を吐き、うなだれた。
「街のピンチか?」
その時、聞き慣れた声が頭上から降ってきた。