そこで、愛国護民特別刑務部隊隊長と副隊長が、『北国の白いプリン』を巡って戦いを始めてしまい、取り残された穹人の人々と、そんな彼らを取り押さえるべくやってきた隊員が、途方に暮れていた。

こうなった場合、一番哀れなのは浩也である。


「浦賀三席! これから一体どうすれば良いのでしょうか!?」

「隊長と副隊長があれでは、暴動は止められませんが…」

「浦賀三席! 北国の白いプリンって美味いんですか!?」

「ぁぁぁ! うるせェ、馬鹿野郎! そんなこと俺が聞きてェよ!!」


部下からの質問攻めに頭を抱える浩也。

実は、いつもそうだった。

以前にも一度、このような状況に陥った事がある。

あの時は、隊舎が半壊した。

それは、暴動による攻撃ではなく、尚輝と麗雨の『西洋のクリームチーズ』を巡っての戦いで破壊された物だった。


──やっぱりあの二人が揃うと、良いこと一つもねェな……


浩也は一人、肩を落とす。


「あの……」

「?」


その時、一人の少年が話し掛けてきた。


「君は……」

「カノヤです。駄菓子屋松金の…」


カノヤと名乗った少年は、浩也を見て苦笑した。