少女は満足そうに頷くと、財布をポケットにしまい、常磐に向き直った。


「世の中平和そうに見えて、でんじゃーがいっぱいじゃァ。あんちゃんも気を付けんさいよ。子供だから良かったがよ」

「そーゆーときの為にアンタ等ポリスが居るんだろ。つーか君幾つ?女の子でしょ、何でそんな物騒なもんぶら下げてんの」


常磐は疑問を彼女にぶつける。

少女はめんどくさそうに目を細め、何か言い掛けたその時。


「又傘隊長〜」


後ろから情けない声が聞こえてきたので、常磐は振り向いた。

彼女も眉間に一瞬皺を寄せ、その声の主を睨んだ。


「もう、隊長!俺の財布また勝手に使ってるでしょ!?今日コンビニ行って気付いたんですけど!お陰で初めておサイフケータイ使っちゃいましたよ!」

「そらおめでとさん。おサイフケータイデビューじゃ」


「ありがとうございます!じゃなくて、財布!返してください!」


常磐は目の前で繰り広げられるプチ漫才に首を傾げた。

隊長とは、この少女のことであろうか?