常磐はそれを受け取ろうとして固まってしまった。


──ちょっと待って……万札?見る限りこの子まだ未成年だよね……?え、その前に何でこんなガキが愛護なんかやってんのって話から始まるけど……


頭の中はぐるぐるとおかしく思考が絡まっていく。

目の前に立つ少女はその無表情に少しだけ眉を寄せ、財布を再び開いた。


「なん、足りんのか?なんぼ出しゃあええんじゃい」


「あの、細かいの無い?駄菓子ってさ、30円とか50円とか、小銭で買えちゃうわけ。つまりね、こんなゼロいっぱい付いた紙貰っても困るの」


常磐がそう言うと、少女はサクランボのような色をした唇を尖らせ、万札をしまい小銭を取り出した。


「300円で足りっか?釣りは要らんき」

「うん、あげるつもりないし」


常磐は少女から小銭を貰いながら頷く。