常磐が少年に追い付くと、何者かが少年の腕を掴んでいた。
常磐はその様子を見て安心したように言う。
「あー、その子ウチの商品万引きしたんですゥ。捕まえてくれてありがとうございました………」
言いながら少年の腕を掴む人物を見て言葉を失った。
水色のふわりとした髪、陽の光を跳ね返す白い肌、雪ウサギのように真っ赤な瞳……
更に、腕には『愛護』と書かれた腕章が巻かれている。
「……現行犯逮捕ですか」
常磐は引きつった笑みを浮かべる。
しかも、身長は常磐と同じくらいか少し低いくらいの愛護は、どうやら少女らしく、顔つきには幼さが残り、胸に僅かな膨らみが有った。
「のぅ、ワラシ」
その少女は口を開き、少年と同じ目線になるようにしゃがんだ。
その時、腰にぶら下がっていた鉄パイプが地面に擦れ、甲高い嫌な音がする。
その前に、警察のくせになんつーモンぶら下げてんだ。
少年は怯えながら少女を見返す。