少年は握り締めた飴を落とさないように注意しながら、且つ早く帰れるようなスピードで必死に走っていた。
息は切れてくるし、足はもつれてしまう。
──母ちゃん……
少年は心の中で呟きながら、ぎゅっと目を瞑り、更に加速した。
ΣΣドンッ
「いたっ」
加速した瞬間に、誰かにぶつかってしまったらしい。
思い切り尻餅をつき、少年は尻から頭に突き抜けるような痛みに顔をしかめた。
すると、後ろから
「このクソガキがァァァ!!店のモン返せェェ!!」
という恐ろしい叫びが聞こえた。
少年は再び走り出そうと立ち上がるが、その時、誰かに腕を捕まれた。