「いらっしゃいませ、駄菓子屋松金にようこそ〜」
そう言いながら、やる気無さそうに旗を振るカノヤは、客足の少なさに嫌気がさしていた。
『駄菓子屋松金』と書かれた、やたら大きな黄色い旗が虚しく翻り、カノヤの口からは溜息が漏れる。
「全然人が来ません。とっつぁん、休憩していいですか?」
カノヤが店の奥に話し掛けると、一段とやる気の無さそうな顔をした常磐がのそくそとオッサンのような動きで出てきて、外をちらっと見る。
「アレだろ、お前。サーコマのバイト時代のアレが出てんだよ。『いらっしゃいませ〜、サイコーマートにようこそ〜』のアレ」
「関係なくね?」
カノヤは口調を乱して答える。
確かに、気付いたらバイトをしていた頃の癖が出ているが、そのせいで客足が少ないとは思えない。
何がいけないんだろう、とため息を吐いたその時、目の前に一人の子供が現われた。