日差しが強かった。
皮膚を焼き焦がそうとしているのか、立っているだけで汗が噴き出し、痛いくらいにジリジリと照りつけられている。
先住民とヒトが平和そうに歩いているが、その心は穏やかなのか定かではない。
先住民によるテロは、日々絶えないのだから。
そんな町中を、駄菓子屋を営む松金常磐は、ぼんやりと眺めていた。
駄菓子屋松金と書かれた古い看板が有り、ちんまりとした店が騒がしい町並みに似合わない。
「とっちゃん!酢昆布ちょーらい!」
「ガッツリマンチョコもねー!」
「はいはい。駄菓子は逃げないから、ゆっくり選びな」
「「わぁーい!」」
近所のちびっ子がいつものように遊びに来る。
わずかな小銭をもみじのような手で大事に握り、天使のような笑顔で駄菓子を選ぶのだ。
常磐はそれを、いつも優しい笑顔で見つめていた。
「駄菓子は良いですねェ。素朴な味わいが戦乱だらけの世の中を癒やしてくれると思いますよ」
そう言いながら、麦チョコレートを買っていく老人も居た。
とにかく、駄菓子屋松金は今日も平和だ。