カノヤが涙で潤んだ瞳を音のした方に向けると、牛に跨がった常磐と、その後ろには奴隷化されていた穹人が鶴嘴やスコップを持って立っていた。


「パパァァ!!」

「アリアァァ!!」


そこで、父と娘は感動の再会を果たし、人目も気にせず抱き合う。

常磐はそれを見て満足したように微笑みながら、穴の開いた壁を睨み付けながら怒りに震える男をチラ見した。

男は叫ぶ。


「貴様ァァ!!何者だ!?」

「俺からしたらアンタが何モンだ?って感じなんだけど」


首を傾げながら答える常磐に、男の怒りは爆発する。


「お前等ァァ!あの男を血祭りに上げろ!」

「「「「御意」」」」


男の声の後に、スーツ人間は一斉に飛び掛かってきた。

常磐は牛の頭を撫でてから、普段は眠たそうに垂れた目を光らせた。


「雑魚はお呼びじゃねーっての!退いた退いたァァ!駄菓子屋松金店主・通称とっつぁんのお通りだァァい!」


牛に跨がった常磐は、スーツ人間を片っ端から吹き飛ばし、最終的に逃げようとしていた男を踏み潰す。


「逃げる気かァ?」


ニヤリと笑った常磐を見て、男は断末魔の叫びを上げた。