すると、男はいかにも悪役の笑い方のような、廊下に響き渡るほど高笑いをし、呼吸を落ち着かせると、言った。
「通報するだと?バカな話だ。俺を誰だと思ってる?俺の財力が有れば、愛護の一つや二つ簡単に丸め込めるわ。だいたい偽民である穹人を奴隷化したところで何が悪い。誰も困りはしないだろう?」
「酷い!偽民はアンタ達人間の方だ!地球を壊してここに勝手に住み着いて、なんて身勝手な種族なんだ」
流石のカノヤも怒りを顕にし、叫んだ。
男は鼻で笑いながら、指をパチンと鳴らす。
すると、明かりが付くとともに、視界がクリアになった。
二人は突然の光に、目を細めながら辺りを見回し、絶句した。
「このドブネズミ共を排除しろ」
「「「「御意」」」」
二人の周りには、数えきれないほどの黒いスーツの人間が、何やら武器を持って立っている。
「ヤバイ…!」
カノヤはアリアの手を引いて逃げ出した。が、人間に腕を捕まれてしまう。
「誰か………」
カノヤは思わず叫んだ。
「助けてとっつぁん!!!!!」
ドガッシャァァァァ!!
壁を破壊する音が響いた。