常磐は卵を割らないように慎重にカノヤに袋を渡してから、串団子状にして食べていた鈴カステラはそのまま右手に持ち、その事件(?)の現場へと歩いていってしまった。
それを見たカノヤは、重い袋に呻きながらも常磐を案じ、声を掛ける。
「ちょっ、とっつぁん!危ないですって、110番しましょうよ」
「人の店の前で何やってんだボキャァァァア!」
「とっつぁ〜ん!((泣」
しかし、当の本人はそれに聞く耳を持たず、店を守るべく駆け出してしまった。
カノヤは重い袋を持ち上げ、何とか走り出す。
常磐は男と女の間を割って入り、二人に距離を取らせ、言った。
「人ン家の前で何してんのアンタ等!ここ駄菓子屋!わかる?看板に書いてあるでしょ?これから開店すんだから、喧嘩なら余所でやってよ、良い場所紹介するから」
「止めるんじゃねェのか───ΣΣ!!」
ようやく追い付いたカノヤは常磐の言葉に脱力し、思わずツッコミを入れた。
どうやら常磐と居ると自分はツッコミに目覚めるらしい、とカノヤは今自覚した。