とりあえずまた大通りに戻ろうと歩きはじめた時、前からフードをかぶった奴が歩いてきた

そいつが持っていたものは盗られたケイの財布だった

「お、俺のさいふチャン」

ケイは物凄い勢いで財布を奪った


そいつはビックリした表情を見せたがすぐに逃げようと駆け出した

「ちょ、待てよ〜」


ケイがそいつの右手を掴む
俺とケイで逃げないように囲んだ


「なんでケイの財布盗ったんだ?」


「…………」


「おい、きいてんのかよ」


俺は黙ったままの態度に苛立ちフードをとる
すると綺麗な茶色の髪と大きな目、色白の肌が目に入った


薄い緑色の瞳と目があう
強気な視線


「女の子じゃん」


ケイは驚いた顔でその子をまじまじと見た


「もう離して」


そう言ってケイの手を振りほどく

「もういいでしょ。私行くから」


そして俺の胸を押すとスタスタ歩きだした



「あやまれよ」

俺が低く静かに言うと立ち止まって振り向いた


「バンリ、もういいよ。戻ってきたんだし〜それにめっちゃ美人ちゃ」
「ケイは黙ってろ」

ケイの言葉を遮り女のほうに近づく



「…ごめんなさい」


女は素直に謝ってきた
こうも急に素直になられても困る。
俺もケイも顔を見合わせ女を見下ろす


すると急に女はしゃがみ込み咳込みはじめた


「おいおい、どーしちゃったん」

ケイが心配そうに背中をさする。女はケイの手を振り払い立ち上がろうとしたがバランスを崩しケイに抱き抱えられた


そのまま女はケイの腕の中で意識を失った