『んー、もしよかったら映画館とか、行かないかな?と思って』
こ、これは…
俗に言う、デートのお誘いだったりする!?
どうしよう!!
こういう場合なんて言えばいいんだろう!?
喜んでお受けいたします…
は敬語でおかしいし。
うん!ちょーど暇だったんだよ!
は失礼だし…
全然いいよ!昴くんのお誘いだもんっ
…よし、これで行こう。
あたしは頭の中で起こった、緊急臨時委員会をまとめて電話に立ち向かった。
「全然いいよ!す…」
『そっか!良かった。断られたら恥ずかしいよね?だから、緊張してさ』
何回も口の中で反復したっていうのに、その言葉は昴くんへと伝わることもなく消え去った。
落ち込んでると何故か零の顔が頭の奥にちらついた。
零…?
「あっ」
思わず、声をあげてしまったためにあたしは昴くんにその理由を話さないといけない事になった。