「…はい、もしもし」


『詩織ちゃん?俺、昴だけど今大丈夫?』


あまーい声にもきゅんとする。
後、何か大丈夫か聞いちゃうとことか紳士過ぎる…
だって、零から電話もらうと要件だけ言って適当な事言って切っちゃうんだもん。
誠也くんからたまーに電話あっても、‘詩織さんですよね?零にこっち来いって言ってください’っていきなり言うんだよ?
全くデリカシ―ってものがないのかな。

だって、もしあたしが誘拐とかにあったとして犯人が電話に出ちゃって、なのに誠也くんが言いたいことだけ言ってたら困っちゃうじゃん。
ってか、ムカついてあたし殺されっちゃったりするかも知れないし。


危ないよ、危ない。

今度会ったら、誠也くんにもきちんと話ししておかないと。
誘拐は嫌だけど、いつそんな目に遭うかわかんないもんね。



『詩織ちゃん?聞こえる?』


再び聞こえた昴くんの声で戻ってきた。

「うん。聞こえるよ。大丈夫。ごめんね?」



若干、あっちの世界に行ってしまったことを後悔しながら、昴くんに答えた。
そしたら見えなくても優しい笑顔で笑ってんだろうなぁって分かる声で返してくれた。


『いいんだよ。あのさ…いきなりなんだけど…明日あいてる?』