「面白いよな」


今度は緑が言った。
ん?この声だったような気がしないでもないけど…


「どこがどうなってそうなったのか分かんない。ってか大体…」


続くはずの言葉は、あたしの口に当てられた零の手によって遮られた。




「これ以上こいつらと喋っちゃダメ」


低い零の声が聞こえて、背中がくすぐったい気持になった。
そのまま、おとなしくなったあたしの手を握って零は出口に向かった。


ブラザーズは何だかニヤニヤしてる。
けど、昴は相変わらず不安そうな表情。



「噂通りシスコン、なんだな?」


緑が微かに笑いを浮かべながら、呟いた。
呟いたと言っても、あたし達に向かっていった言葉だから響いた。


「シスコン?俺が?」


足をとめて、後ろにいるブラザーズに目も向けずに言う零は怖かった。
怖かった、と言うのは普段一緒に過ごしてる零じゃない気がしたから。


っていうか、シスコンの自覚なかった?

あたしはブラコン自覚してたんだけど。
もちろん、零の態度も普通にシスコンだなぁって感じてたんだけど。


少し前にいる零の表情は、怒ってるような悲しそうな表情だったから、零が何を思ってるのかは分からなかった。


「シスコンだよねぇ。あれ?もしかして自覚なし?怖いなぁー」


オレンジが完璧からかうような口調で言う。
その声は明らかに楽しそうだった。