世界で一番大事な零。



ごめんね、あたし破っちゃったよ。




もう一回3人を睨むと、くるっと背中を向けた。
我慢してた涙が頬をゆっくりと伝うのが分かった。


「お前…」




カツカツと誰かの足音が聞こえる。
どうやら、誰かが後ろから近寄ってきてるらしい。



「来ないで!」



あたしは後ろを向いたまま、叫んだ。
涙、涙だけは見られたくない。



目もとを抑えて涙を止めようと思ってもなかなか止まってくれない。
ごしごしと目をこする。
痛いけど、今は止める方が大事だ。



あぁ、もう止まってよ。
お願いだから。


なおもごしごしするあたし。



そんなあたしに、ふわっとした感じに包まれた。
それは、あたしがムカついているあの3人のものではなくて―――



零のものだった。