昴くんってずっと不良と反対の人だと思ってたけど…



もしかしなくても、もしかしても…




ヤンキーくん!?だったりしちゃうの?



だって、あの眼は零の目と一緒。
あたしはあんな目で睨まれたことないけど、睨まれたらきっと気絶しそうな勢いだ。
手加減したのだって震えちゃったんだから。


「や…やややや、やん、」


真相を聞こうとあたしは頑張ったけど二文字目までしか行かなかった。

「や…や、やぁ昴くん。その後調子の方はどうだい?」



焦ったあたしは、この前見た変な映画に出てきたセリフを言ってしまった。


主演の人が、大好きな俳優で見たんだけど。
中身は全くと言っていいほどよく分からなかった。


確か…どっかの国に潜り込んだスパイの話だったんだけど。


途中から誰が味方か敵かあたしが分かんなくなっちゃって…
その俳優さんが出るところ以外はマンガを読みに入っちゃったんだよね。


スパイって…楽しいのかな?
何かドキドキしてばっかで疲れそうな気もするけど…
それが楽しかったりして?

…ってその人何かMっぽいじゃん!


もしかして、スパイってみんな変態なのか…?
そしたら、あの俳優さんも…黒いコート着て、バァってやっちゃう人だったりするの?


嫌だ!すっごく嫌だ!



何かもう…あの俳優さんの事嫌いになりそうだ!
でも…かっこいいんだよねー


「…順調ですよ…?詩織さん」


くすくすと聞こえてきた笑い声の先にいたのは、面白そうに顔を崩して笑ってる昴くん。