「チョコちゃーん!タマー!」
クラスのドアが開いたと思えば、
響いたのはやたら明るい、
ニナちゃんの声。
ざわつくクラス、
ニナちゃんに、男子の視線が集まった。
さすが、
クラスや学年どころか、
学校中から可愛いって言われるだけある。
けれど、
今日のニナちゃんはちょっと違った。
ハニーブラウンの髪の毛が、
数日見ない間に、
いつのまにかメッシュ入りになっていて、
それが蛍光灯で、
眩しいぐらい光ってる。
「うっわ、その色ちょっと下品じゃない?」
あまりにも目立つその色に、
タマちゃんが顔をゆがめれば、
ニナちゃんの後ろから、
「悪かったな」
―低い、声がした。
聞き慣れた、
低いけど、怖くない、やさしいような、
そんな声。
にゅっと顔を出したのは、
ニナちゃんと全く同じ色の
メッシュを入れた、
木口くんだった。