「つーかほんとに竜也ってさ、女好きっぽいオーラしか出てないよね」
「…そうかな」
「そうだよ」
国語の教科書を
パラパラとめくりながら、
そんなことを言ったのは、
タマちゃんだった。
今日も、爪の先で、
きらきらとネイルが輝いていた。
あたしと同じ幼稚園、
小学校で、
今も同じ校区、
ご近所さんで、仲良し。
いわゆる幼なじみのあたしたちは、
入学したときから、
みんなから一線を置かれてる。
それは、半分以上、
タマちゃんの外見のせいでもある。
髪の毛は他の子と変わんない黒で、
でも、金色のメッシュ入り。
ブルーのカラコン、
短いスカート、
紺色のソックスに、
黒のローファー。
全て違反のそれは、
タマちゃんによく似合ってた。
だけど、
先輩たちですら恐れおののいて
声をかけないタマちゃんに
クラスの子が
声をかけるわけもなく、
必然的に、
あたしとタマちゃん、
そして、
涼子とニナちゃんっていう
二年女子のグループ分けが出来上がってた。