竜也とあたしが、
いわゆる"彼氏彼女"になったのは、
中一の夏休みが来る前だった。
竜也は、
みんなに"たっちゃん"って呼ばれてて、
割と人気のある子、だった。
だから、割と目立ってる、
あたしたちのグループとも、
必然的に関わり合いになっていて、
竜也があたしに話しかけてきたのも、
そんな流れのことだった。
今でも忘れない、初めの一言。
「平沢さんって、何でチョコなん?」
それは、
誰もが一回はあたしに問いかける、
その言葉だった。
だから、別に竜也のことは、
初対面から運命を感じたとか、
そんなんじゃなかった。
そもそも、
あたしは運命なんて、
信じないし、
きっとこれからも、
信じることなんてないと思う。
そうじゃないと、自分が悲しいから。
竜也と出逢えたことは
それなりに嬉しいけど、
悲しいことが、
今のあたしには、
あまりにも多すぎる。